レズロック錠 開発の経緯

開発の経緯

レズロック®錠200mg(一般名:ベルモスジルメシル酸塩、以下、ベルモスジル)は、Surface Logix, Inc.により発見された、Rho-associated coiled-coil containing protein kinase(ROCK)2を選択的に阻害する低分子経口ROCK2阻害剤である。
ROCKは体内に広く発現するセリン・スレオニンキナーゼであり1)、複数の線維化シグナル伝達経路において中心的な役割を果たしている。ROCK1及びROCK2の2つのアイソフォームが存在するが、近年、ROCK2は免疫系への寄与が示唆されたことから、慢性移植片対宿主病(慢性GVHD)治療薬として海外においてベルモスジルの開発が開始された。

慢性GVHDは同種造血幹細胞移植後の合併症の一つであり2)、幅広い臓器に傷害が起こる重篤かつ致死的な疾患である。各臓器では炎症のみならず線維化の病態を呈し、患者の生活の質(QOL)を著しく損ねる3,4)
慢性GVHDの発症には、ナイーブT細胞からヘルパーT17細胞(Th17細胞)、濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh細胞)への分化とそれに続く炎症性サイトカインの過剰産生が関与し、さらには多臓器の線維化が引き起こされる5)。また、免疫系の抑制に関与する制御性T細胞(Treg細胞)の減少あるいは機能低下に伴う免疫バランスの破綻も関与する。

ベルモスジルはROCK2を選択的に阻害することにより、Th17細胞、Tfh細胞への分化を抑制するとともにTreg細胞への分化を亢進することによる免疫調整作用に加え、線維芽細胞のコラーゲン産生及び細胞増殖の抑制による抗線維化作用を発揮することが期待され、Kadmon Corporation, LLC.(Kadmon社)により米国においてステロイド依存性又は抵抗性の慢性GVHD患者を対象に開発が進められた。米国では同疾患の適応でorphan drug及びbreakthrough therapyの指定を受け、2021年7月に承認された。2023年11月末現在、米国の他にオーストラリア、カナダ、英国、イスラエル及び中国で承認され、米国、カナダ及び英国で販売されている。

Meiji Seika ファルマ株式会社は、Kadmon社が実施したベルモスジルの臨床試験及び非臨床試験の結果を踏まえ、本邦において臨床第Ⅰ相試験(ME3208-1試験)を実施し、日本人健康成人における薬物動態は外国人健康成人と類似することを確認した。その後、米国で実施された海外第Ⅱ相試験(KD025-213試験:ROCKstar試験)の結果を踏まえ、ステロイド依存性又は抵抗性の慢性GVHD患者を対象に国内第Ⅲ相試験(ME3208-2試験)を実施し、本剤の有効性及び安全性が示されたことから、2024年3月に「造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」を効能・効果として製造販売承認を取得した。
なお、ベルモスジルは「造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病」を予定効能・効果として、2023年5月に希少疾病用医薬品の指定[指定番号:(R5薬)第569号、令和5年5月23日付け薬生薬審発0523第1号]を受けている。

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