ハイヤスタ錠 安全性薬理試験及び毒性試験

安全性薬理試験及び毒性試験

1.安全性薬理試験(in vitro、ラット、イヌ)25)

動物種/系統
(性別、n)
用法・用量(mg/kg) 投与期間 投与経路 結果
hERG導入HEK-293細胞 5μM in vitro
【心血管系への影響】
  • ・溶解限界によりIC50値は求められなかったが、5μMを上回ったことから、hERG電流に対する毒性学的意義がある阻害作用はないと判断された。
ラット/Sprague-Dawley系
(雄雌 各n=15/群)
9、18、36
QOD
4週間
(+4週間回復試験)
経口
【中枢神経系への影響】
  • ・特記すべき所見は認められなかった。
【呼吸器系への影響】
  • ・特記すべき所見は認められなかった。
ラット/Sprague-Dawley系
(雄雌 各n=15/群)
3、9、27
QOD
13週間
(+4週間回復試験)
経口
【中枢神経系への影響】
  • ・特記すべき所見は認められなかった。
【呼吸器系への影響】
  • ・特記すべき所見は認められなかった。
イヌ/ビーグル
(雄雌 各n=5/群)
0.25、0.75、1.25
12日間QD、13日目は投与中止、その後QOD
4週間
(+4週間回復試験)
経口
【心血管系への影響】
  • ・収縮期、拡張期及び平均動脈圧値には、投与に関連する所見が認められなかった。
  • ・0.75mg/kg群で1回、1.25mg/kg群で2回の10%超のQTc延長が認められ、投与用量に関連した血清カリウム及び血清カルシウムの減少に起因すると推察され、有害な影響と判断された。
【中枢神経系への影響】
  • ・0.75及び1.25mg/kg群で、投与7日目から活動低下、食欲不振、削痩及び異常便(水様、粘液、変色)が認められ、有害な影響と判断された。
  • ・回復期間内に、これらの影響の大部分に可逆性が認められた。
【呼吸器系への影響】
  • ・特記すべき所見は認められなかった。
イヌ/ビーグル
(雄雌 各n=5/群)
0.25、0.75、1.25
QOD
13週間
(+4週間回復試験)
経口
【心血管系への影響】
  • ・特記すべき所見は認められなかった。
【中枢神経系への影響】
  • ・全用量群で、一過性、かつ間歇性の異常歩行、四肢の使用制限、円背位の臨床徴候が認められた。
【呼吸器系への影響】
  • ・特記すべき所見は認められなかった。
  • hERG:ヒトether-a-go-go関連遺伝子、QD:1日1回、QOD:2日に1回

2. 毒性試験

  • (1)単回投与毒性試験(イヌ)26)
    動物種/系統(性別、n) 投与量、投与経路 結果
    イヌ/ビーグル(雄 n=6/群) 1.25mg/kg/日、強制経口投与
    10mg/頭/日(錠剤)、経口投与
    • ・良好な忍容性が認められた。
    • ・MTD:1.25mg/kg、10mg/頭
    • MTD:最大耐量
  • (2)反復投与毒性試験(ラット、イヌ)1)
    動物種/系統
    (性別、n)
    投与量(mg/kg)投与経路 投与期間 結果
    ラット/Sprague-Dawley系(雄雌 各n=15/群) 9、18、36
    QOD
    強制経口投与
    4週間
    (+4週間回復試験)
    • ・全用量で体重増加量及び摂餌量の減少が認められた。
    • ・18mg/kg以上で骨髄低形成、リンパ組織におけるリンパ球枯渇、膵臓表面に炎症が認められ、投与に関連する血液学的変化及び臨床検査値異常が認められた。
    • ・全用量で脾臓表面の慢性又は線維性炎症の発現増加が認められた。
    • ・これらの変化は、回復期間終了時に回復又は改善傾向が認められた。
    • ・無毒性量(NOAEL)は判定できず、MTDは36mg/kg以上であった。
    ラット/Sprague-Dawley系(雄雌 各n=15/群) 3、9、27
    QOD
    強制経口投与
    13週間
    (+4週間回復試験)
    • ・9mg/kg以上で体重増加量及び摂餌量の減少が認められた。
    • ・9mg/kg以上で総白血球数、好中球数、リンパ球数及び網状赤血球数の減少、γ-GTP及び尿素窒素の増加、総タンパク、アルブミン及びグロブリンの減少、27mg/kgでカルシウム及びカリウムの減少が認められた。
    • ・3mg/kg以上で前立腺重量、9mg/kg以上で下垂体、甲状腺及び胸腺重量の減少が認められた。
    • ・これらの変化は、回復期間終了時に回復又は改善傾向が認められた。
    • ・27mg/kgで雌1例が死亡したが、死因不明で、細菌感染に伴う脳・髄膜炎が疑われた。
    • ・NOAELは3mg/kg、MTDは9mg/kgであった。
    イヌ/ビーグル(雄雌 各n=5/群) 0.25、0.75、1.25
    12日間QD、その後QOD強制経口投与
    4週間
    (+4週間回復試験)
    • ・0.75mg/kg以上で体重増加量及び摂餌量の減少が認められた。
    • ・0.75mg/kg以上で赤血球系パラメータ及びリンパ球数の減少、並びに電解質の変化、1.25mg/kgで活性化部分トロンボプラスチン時間の延長、測定可能なレベルのトロポニンⅠが認められた。
    • ・0.75mg/kg以上でQTc延長が認められ、投与用量に関連した血清カリウム及び血清カルシウムの減少に起因すると推察された。
    • ・0.75mg/kg以上で骨髄、リンパ節、脾臓及び胸腺に影響が認められた。
    • ・0.75mg/kgで雄1例に軽度の骨髄低形成及び中等度の胸腺萎縮がみられたが、回復期間終了時には消失した。
    • ・1.25mg/kgで雄3例、雌1例が瀕死状態を示したため、安楽殺による剖検を行ったところ、骨髄低形成、リンパ節、脾臓及び胸腺でのリンパ球枯渇による肺炎が認められた。
    • ・NOAELは0.25mg/kgであった。
    イヌ/ビーグル(雄雌 各n=5/群) 0.25、0.75、1.25
    QOD、強制経口投与
    13週間
    (+4週間回復試験)
    • ・0.75mg/kg以上で赤血球系パラメータ及びリンパ球数の減少が認められた。
    • ・0.75mg/kg以上でリンパ組織のリンパ球枯渇、肺胞の混合細胞性炎症、生殖器の萎縮(精巣上体、前立腺、子宮、卵巣等)、1.25mg/kgで甲状腺の濾胞萎縮、肺胞の出血、脾臓の結節性過形成等が認められた。
    • ・これらの変化は、回復期間終了時に回復又は改善傾向が認められた。
    • ・NOAELは0.25mg/kg、MTDは1.25mg/kg以上であった。
    • QD:1日1回、QOD:2日に1回、NOAEL:無毒性量、MTD:最大耐量
  • (3)遺伝毒性試験(ラット、in vitro27)
    試験項目 動物種 投与経路 投与期間 投与量 結果
    復帰突然変異試験 ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、
    大腸菌(Escherichia coli)
    in vitro 50~5000μg/plate 陰性
    哺乳類染色体異常試験 ヒト末梢血リンパ球 in vitro 0.8~390μg/mL 陰性
    小核試験 ラット/Sprague-Dawley系 強制経口投与 2日間 10、20、40mg/kg 陰性
  • (4)生殖発生毒性試験(ラット、イヌ)1)

    生殖発生毒性試験は実施しなかったが、雌雄の受胎能への影響をラット及びイヌにおける反復投与毒性試験により評価したところ、結果は下表の通りであった。
    雌雄の生殖器で認められたこれらの所見に基づいて、ツシジノスタットが男女の受胎能に影響を与える可能性が示唆された。

    動物種/系統
    (性別、n)
    投与経路 投与期間 投与量
    (mg/kg)
    結果
    ラット/Sprague-Dawley系(雄雌 各n=15/群) 強制経口投与 13週間
    (+4週間回復試験)
    3、9、27
    QOD
    前立腺重量の減少が観察された。
    イヌ/ビーグル(雄雌 各n=5/群) 強制経口投与 13週間
    (+4週間回復試験)
    0.25、0.75、1.25
    QOD
    用量依存的な精巣所見(精巣の小型化、精巣重量減少、精細管の萎縮)及び前立腺の萎縮が雄で認められた。また、卵巣と子宮の萎縮が雌で認められた。これらの変化はすべて、部分的に回復した。
  • (5)その他の毒性試験
    ①光毒性試験(in vitro28)
    BALB/c 3T3マウス線維芽細胞を用いた光毒性試験において、ツシジノスタット(処理濃度0.178~10.0μg/mL)の光毒性は認められなかった。
    ②原薬の潜在的不純物の復帰突然変異試験(in vitro29)
    ツシジノスタットの潜在的不純物における遺伝毒性を検討するため、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)及び大腸菌(Escherichia coli)を用いた復帰突然変異試験を行ったところ、代謝活性化系の存在下で、ツシジノスタットの潜在的不純物のネズミチフス菌に対する変異原性が認められた。なお、この不純物は検出限界以下あるいは極めて低レベルであるが、ICH M7ガイドラインで規定された許容摂取量を下回る規格値を設けて管理をしている。

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