ハイヤスタⓇ錠10mg の有効成分であるツシジノスタット(中国ではchidamide)は、中国のShenzhen Chipscreen Biosciences Co., Ltd.により発見・開発された、経口投与が可能な、ベンズアミド系のHDAC 阻害剤である。
ツシジノスタットは、主にクラスⅠのHDAC1、HDAC2 及びHDAC3 並びにクラスⅡb のHDAC10 の酵素活性を阻害することで、腫瘍細胞のヒストン等のアセチル化を増加させ、腫瘍細胞にみられる複数の異常な遺伝子、抑制された遺伝子、又は過剰な遺伝子の発現を変化させ、腫瘍細胞の増殖を抑制すると考えられる。
中国では、進行性固形がんもしくは再発又は難治性リンパ腫患者を対象とした海外第Ⅰ相試験(TG0702CDM 試験)及び再発又は難治性PTCL 患者を対象とした海外第Ⅱ相ピボタル試験(TG0902CDM試験)が実施された。その結果、PTCL 患者に対する有効性及び安全性が示されたことから、2014 年12 月に、再発又は難治性PTCL の適応で承認を取得した。また、2019 年11 月に、局所進行性又は転移性の乳がんに対するアロマターゼ阻害剤との併用投与での治療で承認された。
米国のHUYABIO International, LLC は、中国以外の国・地域での開発販売権を取得し、米国では固形がん又はリンパ腫の患者を対象とした海外第Ⅰ相試験(HBI-8000-101 試験)を完了し、固形がんを対象とした本薬と他の抗悪性腫瘍剤併用投与時の安全性及び有効性を評価する海外第Ⅰb/Ⅱ相試験(HBI-8000-302 試験)を実施中である。
本邦においては、非臨床試験及び海外における臨床試験成績に基づき、ATL 患者及びPTCL 患者における有効性を期待し、ATL 及びPTCL を含むNHL 患者を対象とした国内第Ⅰ相試験(HBI-8000-201 試験)を実施した。その試験成績より、ハイヤスタⓇ錠10mg の許容可能な忍容性が示され、日本人NHL患者に対する有効性が示唆されたことから、再発又は難治性ATL 患者を対象とした国内第Ⅱb 相試験(HBI-8000-210 試験)を実施した。その結果、ATL 患者に対するハイヤスタⓇ錠10mg の有効性及び安全性が示されたことから、2021 年6 月に、「再発又は難治性の成人T 細胞白血病リンパ腫」の効能又は効果にて承認、同年8 月に薬価基準収載、同年10 月に発売された。
なお、本剤は「再発又は難治性の成人T 細胞白血病リンパ腫」を予定効能又は効果として2020 年8月17 日に厚生労働大臣により、希少疾病用医薬品の指定[指定番号:(R2 薬)第480 号]を受けている。
また、日本及び韓国において、再発又は難治性PTCL 患者を対象とした国際共同第Ⅱb 相試験(HBI-8000-203 試験)を実施し、PTCL 患者に対するハイヤスタⓇ錠10mg の有効性及び安全性が示されたことから、本邦において「再発又は難治性の末梢性T 細胞リンパ腫」の効能又は効果が、2021 年11 月に追加された。
なお、本剤は「末梢性T 細胞リンパ腫」を予定効能又は効果として2015 年12 月18 日に厚生労働大臣により、希少疾病用医薬品の指定[指定番号:(27 薬)第373 号]を受けている。
その後、安定性試験データに基づき2022 年2 月に製造販売承認事項一部変更承認を取得し有効期間が延長(3 年)され、2022 年11 月にMeiji Seika ファルマ株式会社がHuya Japan 合同会社より製造販売承認を承継した。
注):本邦における本剤の承認された効能又は効果は、「再発又は難治性の成人T 細胞白血病リンパ腫」及び「再発又は難治性の末梢性T 細胞リンパ腫」である。
本邦における本剤の承認された用法及び用量は、「通常、成人にはツシジノスタットとして1 日1 回40mg を週2回、3 又は4 日間隔で食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。」である。
本邦における本剤の用法及び用量に関する注意に、「他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。」との記載がある。
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