粘膜炎への二次感染は、重症化、治癒遷延の大きな局所因子であり、対応に歯科的な消炎処置・感染症としての治療が必要となることもある4)。「局所感染の有無」は常に評価する必要がある。
・疼痛の質
粘膜炎の急な疼痛の悪化には、感染が関与している可能性がある。がん治療中は口腔内感染のリスクが高いが、骨髄抑制期は感染を併発しても局所の炎症所見に乏しいことも多く、疼痛が重要な所見となる6)。患者の訴えを過小評価せず、疼痛の程度だけでなく、疼痛の質(自発痛の有無や誘発痛の詳細など)についても問診することが大切である。
・発症時期
上述したように、薬剤により好発時期や治癒期間には特徴がある(図1)7)。好発時期を過ぎてからの発症、あるいは治癒遅延が認められる場合は、感染など二次的な問題の可能性も疑う。
図1 発症の時期について
国立がん研究センターがん対策情報センター
・発症部位
殺細胞性抗がん薬は、口唇裏面、頬粘膜、下側縁部から舌腹などの可動性の高い非角化粘膜に好発しやすいため(図2)8)、口蓋や舌背部など角化の強い粘膜に発症した場合は、非典型例として感染などの関与も疑う。
図2 発症部位について
Scully C, Sonis S, Diz PD. Oral mucositis. Oral Dis 2006;12:229-30.
がん治療に伴う粘膜炎マネジメントの手引き 2020年版(JASCC-JAOSCC編,金原出版)
以上、当院での口腔粘膜炎の診断・評価のポイントについて概説した。治療ごとの口腔粘膜炎の特徴を理解し、口腔粘膜の変化を観察して粘膜への外的刺激や感染などの二次的な因子の評価を行うことで、より適切な口腔粘膜炎の対応が可能になると考える。
- 4)日本がんサポーティブケア学会, 日本がん口腔支持療法学会, 編.:がん治療に伴う粘膜障害マネジメントの手引き 2020年版. 金原出版. 2020.
- 6)Bensinger W, et a.:J Natl Compr Canc Netw.;6(Suppl 1):S1-21. 2008..
- 7)国立がん研究センター.:がん情報サービス.
- 8)Cully C, et al.:Oral Dis.;12(3):229-41. 2006.